私のつたないホームページに寄せられた文章を、作者の了解を得た上で掲載します。
寄稿、ありがとうございました。
海の大好きな少年
平成18年1月30日に秋田県立男鹿海洋高校の内田航大君(16歳)が潜水訓練中に死亡致しました。そのことについて、秋田県在住の加藤統義様からメールをいただきました。以下は、掲載を前提の上、改めてお送りいただいた文章です。本来ならば、もっと早く掲載すべきでしたが、私のコンピュータに不具合が生じたために、掲載が大幅に遅れてしまいました。ここにお詫び申し上げますとともに、内容を掲載いたします。
海が大好きな少年がおりました。
少年の名前は 秋田県立男鹿海洋高校1年生の 内田 航大君 と言います。
内田君は生まれた時からハンディをもっており、そのハンディとは話したり読んだり 運動は普通の人以上に出来るのですが、思ったことを書いたり描くことが出来いというハンディでした。
そのために小さい時は辛い思いもしましたが、体を鍛えるため空手を習い一生懸命字を書く練習もしました。 大雪が降った時は、近所の高齢者宅の雪かきを手伝ったり、会えば必ず挨拶をきちんと行う礼儀正しい少年でした。
中学校時代の先生に話した将来の夢は、航空自衛官の父親の姿を見て育った影響か、自衛官になり社会に貢献したいと話していたそうです。
高校は答案用紙を書くハンディがあり難しいのではと思われましたが、海と海洋生物 が好きな内田君は海洋高校を志望し昨年みごとに合格しました。
部活動はマリーンスポーツ部に入部、そこで潜水の魅力を知り、寮生活でしたが休みの日も家には帰らず潜水の練習に励んでいたそうです。
潜水の魅力を知った内田君の夢はさらに膨らみ、高校卒業後の進路は海上自衛官それも潜水員なることを希望するようになりました。
一年間の練習でハンディを乗り越え、1月19日夢を実現させる第一歩として潜水士の国家試験に挑み、1月26日には念願の合格通知を手にしました。お母さんの話しでは、家に帰った時は 夜遅くまでお父さんと一緒に潜水士の試験勉強をしていたそうです。
しかし何と無常なことでしょうか、合格間もない1月30日 内田君はいつも練習していたプールの水深10mから元気な姿で浮上することはありませんでした。
海上自衛隊潜水員になる夢も、今年ハワイへの実習航海に行く夢も永遠に叶うとはなくなったのです。
葬儀では祭壇に自衛隊のご好意でしょうか、内田君の憧れた海上自衛官の制服が飾られ、その制服はお棺に納められ天国まで持っていきました。
遺骨の一部は、内田君が行くはずだったハワイへの実習航海で、一番楽しみにしていたハワイの海底に友達が納めてくれるそうです。
人よりも遅くとも一歩一歩夢の実現に向けて努力していた少年が、夢半ばにして去っていく悲しい事故が二度と起こらないことを祈るばかりです。
2006.7.1