アプネア
 海に融けるとき

著者:Umberto Pelizzari(ウンベルト・ペリッツァーリ) 
監訳:早川信久
出版社:株式会社にじゅうに
出版年:平成8年(1996年) 
体裁:四六版 上装 222頁
本体価格:1748円(初版時)
コメント:主にヨーロッパで行われている到達深度を競う素潜りの現状について、その雰囲気や状況がよくわかる。なお、著者には素潜り競技に関するホームページがある。

海女(あま)

著者:田辺悟
出版社:法政大学出版局
出版年:1993年
体裁:四六版 上装 284頁
本体価格:2800円(初版時)
コメント:横須賀市自然博物館及び人文博物館の両館長である著者が丹念に集めた海女に関わる知見。生活の場としての海女の姿がよくわかる。海女の歴史に関する記述も詳細にわたっている。海女を語る上ではさけて通れない書籍である。

海女の島
  −舳倉島

著者:F.マイラーニ
訳:牧野文子
出版社:未来社
出版年:初版第1刷1964年、新装第2刷1991年
体裁:四六版 上装 169頁
本体価格:1648円(1991年)
コメント:1960年代とおぼしき舳倉島の海女の生活をイタリア人の目を通して写真と共に描いたルポルタージュ。素朴な時代の海女の生活を髣髴させる。

海底危険生物
  −沖縄の浜辺から

著者:小林照幸
出版社:文芸春秋(文春新書)
出版年:2002
体裁:新書版 246頁
本体価格:720円
コメント:「朱鷺の遺言」により史上最年少で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者による書物。はぎれよく具体的な記述によって、海辺の生物がいかに危険かをわかりやすく説明。非常にためになる。特に末尾の「応急処置法一覧」は医者も顔負けする簡潔明快な対処指針。海に行く前に是非読んでほしい。

海底に住む
  その可能性と問題点

著者:梨本一郎
出版社:日本放送出版協会(NHKブックス)
出版年:昭和46年(1971年)
体裁:四六版 並装 219頁
本体価格:380円(初版出版時。現在絶版)
コメント:潜水医学をリードしてこられた梨本一郎埼玉医大名誉教授が若かりしころのエネルギーをぶつけて執筆された当時稀な潜水医学に関する書籍。日本における飽和潜水等の深海潜水技術発展黎明期の雰囲気がよくわかる。

海底の冒険野郎

著者:望月昇
出版社:マリン企画
出版年:昭和55年(第2版)
体裁:四六版 並装 235頁
本体価格:970円(第2版出版時。現在絶版)
コメント:望月氏は戦後のダイビング界の草分けの一人。今では考えられないスクーバ潜水黎明期の世界を生き生きと描く。絶版になっているが、若い人に是非読んでおいてほしい本だ。楽しく一気に読める。昔を知っておくことも大事なことだ。

原潜を救助せよ(原題:Danger's Hour)

著者:ジェイムス・フランシス
役者:村上和久
出版社:二見書房(二見文庫)
出版年:2003年(原著は2002年)
体裁:文庫版 609頁
本体価格:952円
コメント:著者は元英海軍の軍医中佐。1990年頃、彗星のごとく潜水医学の世界に現れて、多くの原著及び総説論文を発表。減圧障害という用語の提唱者でもある。いつの間にか退役し、今はシビリアンとして活躍中。当たり前のことながら、荒唐無稽なところが全くなく、ディーテールは圧倒的。それにもまして、イギリス人らしいユーモアと皮肉さが随所に見られて小説としても一流。

事故に遭いたくない人のためのダイビング生き残りハンドブック

著者:中田誠
出版社:太田出版
出版年:1999年
体裁:新書版 293頁
本体価格:1550円
コメント:レジャーダイビングに潜む危険性について活発に発言している中田誠氏の「誰も教えてくれなかったダイビング安全マニュアル」に続く第二弾。著者のホームページを利用して行ったアンケート調査の結果をまとめた箇所も興味深いが、むしろ小さい字で書かれた後半の第二部が貴重である。

自分の命を自分で守るためのダイビング事故防止ファイル

著者:中田誠
出版社:太田出版
出版年:2000年
体裁:新書版 283頁
本体価格:1550円
コメント:レジャー潜水の問題点について厳しく発言し続けている中田誠氏の第3弾。前2作に較べて、より洗練された内容になっている。レジャー潜水の安全意識の向上に果たした中田氏の業績に対しては誰も否定できないだろう。最後の「圧力の研究」は山本七平の「空気の研究」ばりのジョークか。

潜水医学のパイオニア 梨本一郎先生追悼文集

寄稿者:佐藤賢俊、重藤脩、古橋正吉、山口裕、今村晋、鈴木誠一、内田邦彦、大岩弘典、應蘭芳、江田文雄、眞野喜洋、川嶌眞人、毛利元彦、後藤與四之、池田知純、佐藤良策、栗山美和子、石黒信雄、清水信夫、米田憲弘、藤田良一、羽生田義人、野澤徹、宇山辰夫、鉄芳松、須田新輔、宮崎正己、野寺誠、佐々木美晴、鈴木信哉、橋本昭夫、四ノ宮成祥、芝山正治、小林浩、望月徹、D.N. Walder, V Hempleman, R.Y. Nishi, R.W. Hamilton, W. Sterk, D.H. Elliott
発行所:鳳山社 ISBN 4-8316-0114-4
製作:潜水技術センター
出版年:平成16年(2004年)
体裁:四六版 上製 214頁
本体価格:2000円
コメント:強烈な個性で戦後の日本の潜水医学界をリードしてこられ、平成14年(2002年)亡くなられた梨本一郎先生のユニークな追悼文集。我が国の潜水の発展の知られざる一面を記している。梨本先生が名付けた「ナイトダイビング」はアルコールを仲立ちとしたダイバー同士の愉快なつきあいを示すが、海外でも用いられるようになっているのがよくわかる。

船舶遭難時の生存技術と救命設備

著者:及川清
出版社:成山堂
出版年:昭和59年(1984年)
体裁:A5版 上装 247頁
本体価格:3400円(初版出版時)
コメント:著者は東京商船大学教授で、昭和59(1984)年当時にあってもまだ認識が甘かった船舶遭難救急時の問題を、総合的に問うた書。総合的取り組みの欠如、あるいはソフト軽視の体質を指摘している。低体温症に関する記述も鋭い。

ダイバー列伝

原著:Stars beneath the sea: The extraordinary lives of the pioneers of diving, by Trevor Norton
訳者:関口篤 
出版社:青土社
出版年:2000年
体裁:四六版 上装 315頁
本体価格:2200円
コメント:潜水の開拓期に大きな足跡を残した人々の評伝。名前はよく聞くものの、生の姿はもう殆ど伝わってこない「大物」たちの体温がよみがえってくる。ただし、細部の微妙なニュアンスを感じ取るには前もってのそれなりの知識と共感が要求されるだろう。所詮、本当の「業績」は個人の「思い入れ」でなされるものだ。

ダイビング事故とリスクマネジメント

著者:中田誠
出版社:大修館書店
出版年:2002年
体裁:A5版 上装 306頁
本体価格:2800円
コメント:レジャー潜水の事故について活発な著作活動をしている中田誠氏の「ダイビングの事故・法的責任と問題」に続く書籍。膨大な数の事故について筆者自ら足を運んでその詳細を集め、問題点を明らかにするとともに、日米の裁判例についても詳しく分析し、今後の動向を示している。筆者のエネルギーに圧倒されるが、ダイビング関係者には是非読んでもらいたい本だ。

ダイビングの事故・法的責任と問題

著者:中田誠
出版社:杏林書院
出版年:2001年
体裁:A5版 並装 259頁
本体価格:2700円
コメント:レジャー潜水における事故について法的見地からみた専門書。著者の中田誠氏はダイビングマニュアルシリーズで精力的に活動しているが、本書は抑制を加えながら緻密に問題点を論じたもの。むろん異論もあろうが、指導的立場の方に広く読んでいただきたい本だ。建設的な議論こそが意味がある。それにしても、潜水及び法律いずれの面でもいわばアマチュアの氏がこれほどの著作をものにするのは圧巻である。免責同意書の諸外国の事例など、示唆に富む。

誰も教えてくれなかったダイビング安全マニュアル

著者:中田誠
出版社:太田出版
出版年:1995年
体裁:新書版
本体価格:1533円(初版出版時)
コメント:一般の人がレクレーションとしてのダイビングを始めるに当たって、これまで触れられることの少なかったダイビングスクールでの講習等の問題点を具体的に積極果敢に記述している。いわゆるダイビング業界とは無縁のいわば素人の観点からなされた記述は新鮮で刺激的かつ有用である。著者にはホームページもある。

日本蜑人(あま)伝統の研究

著者:田辺悟
出版社:法政大学出版局
出版年:1990年
体裁:A5版箱入上装 740頁
本体価格:13500円
コメント:あまの民族学的研究の第一人者による柳田国男賞受賞の大作。民族学的視点からの記述が主だが、医学生理学に関する特に邦文文献も充実している。

人と潜水
 −水環境への適応−

著者:小林庄一
出版社:共立出版(環境科学叢書)
出版年:1975年
体裁:A5版 並装 119頁
本体価格:850円(初版出版時)
コメント:著者は新潟大学医学部名誉教授(生理学:故人)。長年にわたる主として素潜りに関した生理学的研究をわかりやすくまとめたもの。

房総の潜水漁業史

著者:大場俊雄
出版社:崙(ろん)書房(ふるさと文庫)=千葉県流山市
出版年:1993年
体裁:新書判 200頁
本体価格:1000円
コメント:著者は東京水産大学卒業、千葉県水産課長等を歴任している。ヘルメット潜水による漁業の資料を丹念に蒐集し、読みやすくまとめたものである。その資料の信頼性は高く、記述にも信頼がおけ、ヘルメット潜水の確実な歴史をたどる上にも有用性が高い。著者の姉妹書に同じ「ふるさと文庫」として、「房総アワビ漁業の変遷と漁業法」がある。

耳気圧外傷の基礎とその臨床

著者:柳田則之
出版形態:日本耳鼻咽喉科学会第95回総会宿題報告
出版年:1994年
体裁:B5版 並装 206頁
コメント:著者は名古屋大学耳鼻咽喉科学教授(現在名誉教授)で、学会の宿題報告として出版したもの。一般には入手困難かと思われるが、耳の圧外傷について詳しく記述した貴重な書籍なので紹介した。ご自身の教室の業績もさることながら、巻頭に記された簡潔な「基本的な事項」は耳圧外傷を専門としないものにとっても極めて有用である。

木曜島の夜会

著者:司馬遼太郎
出版社:文芸春秋
出版年:1993年(新装版) 初出は昭和51年別冊文芸春秋
体裁:四六版 上装 232頁 中編集 木曜島の夜会は5-107頁
本体価格:1262円
コメント: ほうっ、司馬遼太郎もダイバーのことを書くのか、とかすかに記憶に残る「木曜島」の題名を見て、意味もなくちょっぴり感激し、そのまま購入した本。もとより体系的にダイバーを扱った書籍ではないが、達意の司馬節のなかに、明治から昭和にかけて南の海で活躍した日本人ダイバーの姿が眼前髣髴(ほうふつ)としてよみがえる。

A Pictorial History of Diving

編者:A.J. Bachrac, B.M. Desiderati & M.M. Matzen
出版社:Best Publishing Company
出版年:1988年
体裁:A4変形 上装 149頁
コメント:これはUndersea and Heperbaric Medical Society, Inc,(潜水高圧医学会)が主体となって文字通り潜水の変遷を写真等視覚資料をふんだんに使って記述したものである。見ていて楽しい(読まなくても!)。特に日本では深海潜水技術の最先端に触れることは極めて困難であるので、これを眺めることによって、”彼ら”の世界をかいま見ることが出来る。しかし、いわゆる科学の'収穫逓減'の時代に入って潜水技術の進歩のスピードもピークを越えた現在、潜水技術の発展が脚光を浴びた時代へのノスタルジーが底流となっているように感じられるのは、うがちすぎだろうか。

Bennett and Elliot's Physiology and Medicine of Diving, 5th ed.

編者: A.O. Brubakk & T.S. Neuman
出版社: Saunders
出版年: 2003年
体裁: B5版 上装 779頁
コメント: 定評ある潜水医学テキストの第5版。新しい編集者によって新たに書き上げられた、潜水医学に関するもっとも重要な書籍。莫大な情報量と信頼性には圧倒される。今回の版の特徴は、酸素中毒の章などをはじめ、多くの分野で分子生物学などを含めた最新の医学知見を大幅に取り入れたことにある。また、難解な気泡形成や確率モデルをはじめとする減圧理論に関する章は極めて高度な数学的基盤をもとに厳密な記述がなされており、面目を一新している。もっとも、逆に言えば、前もって従来の減圧理論を充分に咀嚼していないと、ここに書かれた内容を充分に理解できない懼(おそ)れがある。

Bove and Davis' Diving Medicine, 3rd ed.

編者:A.A. Bove
出版社:W.B. Saunders Company
出版年:1997年
体裁:B5版 上装 418頁
コメント:共編者の一人であったJ.C. Davisが死亡したので、編者の名前を冠した書名となった。潜水医学に関する主要なテキストの一冊で、臨床面に重点を置いた記述となっている。減圧理論に関する記述は乏しい。因みに、Boveはボベないしボベーと発音する。

Diving and Asphyxia

著者:Robert Elsner & Brett Gooden
出版社:Cambridge University Press
出版年:1983年
体裁:A5版 上装 168頁
コメント:海棲哺乳類の素潜りに関して活発な活動を行っている著者によるモノグラフ。下に記したDiving in Animals and Manと併せ読むとよい。

Diving in Animals and Man

編者:A.O. Brubakk, J.W. Kanwisher & G. Sundnes
出版社:Tapir Publisher
出版年:1986年
体裁:B5版 上装 308頁
コメント:1985年にノルウェーで開かれた素潜りを行う動物を主な対象としたシンポジウムの記録。特に、Ridgeway, Kanwisher及びBlixの論文が率直な意見交換もあって面白い。上に挙げたDiving and Asphyxiaと併せ読むとよい。日本で潜水医学に関わる人も海棲動物の生理をある程度知っておくとよいだろう。

Exploring the Deep Frontier
-The Adventure of Man in the Sea

著者:S.A. Earle & A. Giddings
出版社:National Geographic Society
出版年:1980年
体裁:A3版 上装 296頁
コメント:National Geographic Society が本格的に取り組んだ視覚情報をふんだんに盛り込んだ読み物。副題にあるように深海潜水技術の発展を熱気をこめて記述。わずか7年の差だが、'A Pictorial History of Diving'との差は大きい。

Survival in Cold Water

著者:W.R. Keatinge
出版社:Blackwell Scientific Publications
出版年:1969年
体裁:A5版変形 並装 131頁
コメント:ペーパーバックのコンパクトな本で出版年も古いが、水中の低体温症、あるいは洋上救急の生理学的側面に関する最も重要な本。本書によってその問題点が明らかにされまとめられたと言っても過言ではない。まだ入手可能かも知れない。ところで、なぜか、溺水の権威であるModellからは言及されていない。

The Physician's Guide to Diving Medicine

編者:C.W. Shilling, C.B. Carlston & R.M. Mathias
出版社:Plenum Press
出版年:1984
体裁:B5版 上装 736頁
コメント:比較的多くの著者によって記述された潜水医学の主要テキスト。どちらかというと潜水の具体的な側面に関連した潜水医学の記述に優れている。The Physiology and Medicine of Diving と併用するとよい。空気塞栓症に関する項は出色。

The Physiology and Medicine of Diving, 4th ed.

編者:P.B. Bennett & D.H. Elliott
出版社:W.B. Saunders Company Ltd
出版年:1993
体裁:B5版 上装 613頁
コメント:潜水医学に関する最も重要なテキスト。1964年に初版が出版され、その都度大幅に記述を変更して1993年、編者の言葉によれば彼らが編集する最後の版たる第4版が出版されたものである。理論的な面も含め、潜水医学全般を詳しく記述しており、潜水医学を勉強しようとする人にとっては必読の書である。但し、減圧症に関しては未だ評価の定まっていない記載法を取っていることに留意されたい。


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