江田島の春には、他では見られない卒業式がある。 それは、海上自衛隊の学校の卒業式だ。将来幹部自衛官(昔風に言えば士官だ)になる幹部候補生学校の卒業生に加えて、中学校を卒業して4年間過ごした第一術科学校の若い生徒もここを卒業していくのだ。 今どきちょっと珍しい”厳粛”な卒業式の後、学校の前の海に浮かんで待っている自衛隊の船に乗り組んで、そのまま遠洋航海に出発したり任地に赴いて行ったりする。みんなで「帽振れ」をして見送る。 |
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津久茂の瀬戸を通って出港する。岸で見送ってくれる人がいる ので登舷礼のままだ。 | ||
桜の季節になると、江田島中落ち着かなくなる。江田島の自衛隊も構内を一般に開放するし、町の主だった人を招いて園遊会のようなものを行う。 桜の名所は島中いろいろあるけれど、穴場をそっと教えよう。それは小用(こよう)から秋月の方へ桜並木を登る途中の戦艦榛名記念碑から海の方へ2〜300m行ったところだ。360度桜に囲まれて、眼の下まで花でいっぱいだ。桜を通して呉や広島通いの船を眺めることができる。人が意外に少ないのもよい。 | ||
小用港を望む。遠く向こうが広島方面。 | ||
四月の日曜日には町主催の江田島ウォーキングフェスティバルが催される。町内三方から古鷹山を目指して老若男女が集まり、古鷹山の中腹でフェスティバルを開く。楽しい遊びがいっぱいあるし、景品も多いぞ。 | ||
古鷹山の中腹の広場に集まって楽しむ。消防署のマスコット、レス キューホークは子供たちの人気者 |
ここでちょっと一般にはあまり知られていない自衛隊構内の由緒ある建物をお目にかけよう。 | ||
高台にある水交館。この前庭で懇親会などが開かれる。 | 高松記念館。水交館の上にある。 |
左に示すのは水交館(昔の将校クラブ)。海上幕僚長以上のVIPだけが泊まることができる。高台にあって、江田内(江田島湾のこと)を見渡す場所にある。晴れていれば、節目に前庭で”園遊会”が開かれることもある。右は高松記念館。高松宮殿下が兵学校生徒であられたときに休日を過ごされた建物。質素だが趣が深い。
兵学校の赤煉瓦は有名だけれども、ご存じない人も増えてきているようなのでここに掲げよう。明治の海軍発展期に東京築地にあった海軍兵学校が江田島に移された際に建てられた校舎で、煉瓦(レンガ)は遠くイギリスから運ばれてきたもの。現在は海上自衛隊幹部候補生学校の一部として使われている。歴史的建造物ということで最近大がかりな修理を終え、装いを新たにした。 背景の山は古鷹山。三角形の山が主峰で、標高392m。島民みんなにこぞって親しまれているが、恰好の訓練の場でもある。山頂まで駈け登り駈け下りる。 |